水戸地方裁判所 昭和51年(タ)13号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
右認定事実によれば、原告には専業農家たる被告方に嫁いだものとしては農作業に未熟な点が認められるばかりでなく、被告らの叱責を受けて実家へ逃げ帰るなど幾分妻としての自覚に欠ける点もあつたとはいえ、原告に対する被告忠の暴行はその態様、程度からいつても、妻が忍受すべき限度を超えていることは明らかであり、原告に対する堕胎の要求及び叱責なども夫としての配慮に欠けているものといわざるを得ず、右暴行などが原告に被告忠との婚姻を継続する意思を喪失させ、遂には右婚姻関係を破綻せしめるに至つたものといわざるを得ないから、右婚姻関係破綻の原因は、主として被告忠にあるものというべきである。
又、右認定事実によれば、原告は、被告勤が倒れ被告ら方において原告の手伝いを必要とした後に外に働きに出ているけれども、それは、子供達の成長するにつれて母たる原告が子供に対する各種の出費を必要としたのに、原告に家計の一端をもまかせなかつた被告らの態度によるものというべきであり、又、原告はその収入の約六割を食費などの費用として使用し被告ら方の家計を少しなりとも補つていたのであるから、原告が外に働きに出たことをもつて妻としての配慮に欠けたものということはできない。<証拠判断略>
しかして、前記認定事実によれば、原告と被告忠の婚姻関係は回復不可能なまでに破綻したものというべきであり、将来改善される見込も認められないので、原告には、民法七七〇条一項五号にいう「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するといわざるを得ない。
(小野田禮宏)